高野秀行『謎のアジア納豆』の読後感が最高すぎる・感想【読書】

 第3話 『謎のアジア納豆』は、僕らを豪華で素敵な旅の世界へと誘う

 

こんにちは、快斗です。

さて、今回もある一冊の本を紹介したいと思います。

 

『謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉』

 

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という、納豆好きにはたまらないタイトルの一冊です!

 

おかげで、夜ご飯は納豆と白いご飯が中心となり、パスタやオムライスなどは献立から呆気なく消え去っていきました。

日頃から密かに抱えている納豆愛が爆発した、なんともたまらん一冊。

 

著者は高野秀行さんという、ノンフィクション作家。

学生時代は早稲田大学の探検部で、その頃からの好奇心や探求心がたんまり詰まった物語の数々に、いつもいつも魅了されています。

その中でも、つい先日文庫化された新刊『謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉』をおススメします!!

 

それでは早速、物語の世界へLet's go!!

 

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≪あらすじ≫

ミャンマー奥地で遭遇した、納豆卵かけご飯。日本以外にも納豆を食べる民族が存在することをそのとき知った。そして著者は探求の旅に出る。ネパールでは美少女に導かれ、湖南省で味噌との関係に苦悩。東北秋田で起源について考える。”手前納豆”を誇る人びと。夢中で食べた絶品料理。愛する食材を追いかけるうちに、アジア史までもが見えてきた。美味しくて壮大な、納豆をめぐる冒険の記。

(「BOOK」データベースより)

 

 

エピソード1 納豆のことを知り、想像する

 

 1 読み応えがありすぎる

「あとあれ、ナットウ!好き!」

「え~本当に?日本人でも嫌いな人結構おるで」

「はい、ナットウ美味しい」

 

なんて会話を僕はしたことがある。

ウズベク人の友人は、日本で食べた納豆が好きだという。

その時の僕は、ヘヘンという気持ちだった。

日本の食べ物を気に入ってもらえて嬉しいと、誇らしいと、そう思っていた。

だって納豆は、日本の食べ物だから。

 

突如、フフン、と僕の声ではない薄ら笑いが聞こえてきた。

 

「納豆は日本以外のアジアでも食べられているんだぜ」

完全にそう聞こえた。間違いない。絶対にそう言った。

その呟きは、見事に僕の興味関心をまっすぐ射抜いたのだ。

 

『謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉』

 

この一冊が、いや、厳密にいえば新刊コーナーに積まれた20冊ぐらいのそれらが、一斉に僕を見ていた。

そして僕は結局、不本意ながら、まんまと、でもどこかわくわくしながら、それらの中から一冊を家に連れて帰ることになった。

フフン、とアイツの笑い声が今にも聞こえてきそうである。

 

だけどこれだけは言わせてほしい。

読み応えがありすぎる知識量が半端ない

だから心の底から満足する、そんな一冊である、と。

読書体験としてこれほどまでの満足感を得られるのは、とても貴重なことだ。

そして、それはとても嬉しいことなのだ!

 

 

2 納豆のあれこれが面白すぎる

物語はアジアでの納豆探しから始まり、アジアの納豆と日本の納豆の起源に迫っていく。

現地で納豆作りを体験したり、納豆料理を味わったり、日本でも納豆を作ってみたり、それはもう納豆三昧の日々が描かれている。

 

だけど、それが、物凄く面白い。気になる。好奇心が刺激される。

 

それぞれの国や地域での納豆の作り方や食べ方。

納豆そのものの存在意義や食文化との絡み。

納豆の起源に納豆汁という文化。

江戸時代の川柳や俳句に登場する納豆と現在の日本の納豆。

 

何も知らなかった。

納豆が日本以外の国でも普通に食べられていることでさえ、知らなかったのだ。

日頃から好き好んで食べまくっていた納豆について、僕は無知だったのだ。

知れば知るほど、納豆の一粒一粒を抱きしめてあげたくなる、とはさすがに思わないが、納豆のことが分かっていく。

どんどん解けていく納豆にまつわる多くの謎、同時に、繋がっていく数々の事実に、歓喜と驚愕とが入り混ざる。

それがずっと続いていく。

 

読後、しばらく納豆のことを考えている自分がいた

好奇心と探求心が、この一冊によって刺激され、完全に満たされた証拠だった。

 

 

3 納豆に会いたくなる

そしてもう一つ。この一冊は、僕らにただ知識をくれるだけではない。

それを通して、行動することを迫るのだ。

 

まず早速納豆を食べてみる。スーパーに行って納豆コーナーに長居するようになる。

アジア納豆を想像してみる。硬さ、粘り気、色、におい、味など、気持ち悪いまでに想像する。そして結局は、食べてみたいと願う。

タイやミャンマーラオスブータン、インド、中国などを訪れたときには、市場で納豆を見つけて食べてみたい!絶対に!

 

つまるところ、この本には続きがある

それは、自らで旅して冒険して、未知の納豆に実際に出会うことなのだ。

だから、読んでおしまい、はもったいない。いや、読んでおしまい、にはさせたくはない。意地でも。

だって、本の続きを実際に自分で体験できるのは、豪華で素敵なことじゃないか。

だから僕は、食べたことのない見たことのない、アジアに確かに存在する納豆にいつか会いに行く。

納豆に会いに行く、、、言葉にするととんでもなく恥ずかしくて間抜けだ。スーパーでは満足できなくなった自分がただただ恨めしい。

 

つまり、納豆を入り口にこの本と出会い、そしてその世界へと飛び出していく。

それはまさに読書体験の魅力だと思う。

きっと、納豆が好きだったらなおさら、嫌いでも少しだけは、そんな素晴らしい感情を、この一冊から手に入れられるはずである。そう信じている。

 

 

 

エピソード2 そこに生きている人々のことを知り、想像する

 

もう一つ魅力がある。

むしろこれが最大の面白さであるとも感じるが、

納豆を超えて、国や地域の文化、伝統、人々の生き方、生活スタイルに出会えることだ。

 

納豆の作り方や食べ方を通して、その地域の気候や慣習が分かる。

生活に強く根付いている納豆から、そこで生きている人々の考え方を少し覗くことができる。

納豆にまつわるあれこれが、異文化理解につながる。大袈裟だけど、現地での暮らしが想像でき、想いを馳せることができる。

 

つまり、まさに、この一冊は旅をしているかのような気分にさせてくれるのだ。

主役はあくまでも納豆だが、それは絶対なのだが、そこに広がっている未知の世界に、心は躍る。

 

こんな生活をしているんだ、こんな料理を食べているんだ、こんな格好をしているんだ、こんな風景が広がっているんだ、こんな、こんな、こんな・・・・・・!

 

行ってみたい。訪れたい。

納豆を通して文化や伝統に触れながら、文章や写真で人々の生活を想像しながら、そんな願望が満たされ、同時に大きく膨らんでゆく。

 

ああ、旅だ。これはまさに旅だ。

 

『謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉』はまさに、

僕らを旅の世界へと誘うに違いない。

 

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つまるところ、読後感が最高すぎる一冊なのだ。

 

 

 (完)

 

 

 

第3話、高野秀行さんの『謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

ぜひ、納豆を通して旅に出掛けてみてください。