もう一度訪れたい!世界で最も美しい湖畔の町ハルシュタットを全力で感じる旅【旅行記】
第4話 ハルシュタットにただいまと言いたい
こんにちは、快斗です!
さて、旅しよう。
美しすぎて、思わず息を呑む世界が広がるところへ。
のんびりとした時が流れ、心の平穏が手に入るところへ。
世界で最も美しい湖畔の町と称される、世界遺産の町ハルシュタットへ。
Let's Go!!
★2020年2月15日16日の旅行記です★
エピソード1 鉄道と船を乗り継いで、いざハルシュタットへ
ドイツのミュンヘンから電車に乗る。山と緑と空気しかないような風景が徐々に増えていく。
ドイツにも田舎はあるんだ、とマヌケな感想を抱きながら、
そりゃそうだよな、となんだか安心しながら、大人しく電車に揺られていたら、
気づけばオーストリアに入っていた。
な、に!?
国境はどこ。国境は?ドイツとオーストリアの境目は?ボーダーは?いつの間に?国境を見せて?
と内心慌てながらも、「もう着くよ」などと事も無げに一緒に旅する友に声をかけ、平然を取り繕ってみる。
それから、オーストリアのザルツブルクで乗り換え、アットナング=プッフハイムというところでも乗り換え、かれこれ4時間ほど揺られた。
ハルシュタットは、なかなか遠かった。まるで田舎の町へ帰省するかのような気持ちだった。だけど、ただいまなんて言おうものなら、世界遺産の街に怒られてしまうだろう。僕にとって、縁もゆかりも何もない土地なのである。
大人しく電車を降りる。
だけどそこには。そこの風景は。
僕は「ただいま」と言いたかった。お願いだから、言わせて欲しかった。
煌々と輝く太陽と、雪が白く積もったヨーロッパアルプス、そして美しきハルシュタット湖が、僕らを迎えてくれていた。
そこから僕らはハルシュタット湖連絡船に乗り込み、対岸のハルシュタットの町へと船で渡る。電車では直接ハルシュタットの町までは行くことはできない。
だけど、電車にしたのには理由があった。それはまさに、船に乗ってハルシュタット全体を見渡したかったから。
僕らは今、船の甲板に出ている。いや、全ての乗客が出ているといっても過言ではない。多少過言な程度だ。
僕らを含め、旅人だらけだ。そしてその多くがヨーロッパの人々。つまり皆、背が高い。
170㎝そこらの僕が素晴らしい景色をみようと奮闘していることには誰も気づかないようだ。
最前列参戦でないのが辛い。
残念なことに、いや、決して残念ではないのだが、共感できる仲間がいないという点においてのみとても残念なのだが、一緒に旅している友人は185㎝を超えている。
チラッと様子を伺ってみる。特に困った様子ではない。
ふむ。やはりそうか。
僕はこっそり、背伸びをした。
世界が、グッと、近くなる。
徐々に近づくハルシュタットの町と、遠ざかっていく鉄道駅。湖の上で、雄大なアルプスを眺め、新鮮な空気を目一杯吸って、大自然を感じる。満喫する。
ハルシュタットはもう、ここだ。
エピソード2 ハルシュタットの町を歩く
さて、町を歩く。本当に小さな町みたいだ。端から端までを簡単に歩くことができる。
ハルシュタットのメインストリート沿いには、小洒落た可愛らしい家々が並んでいた。
お土産屋やカフェ、レストランなどが立ち並んでいる。
建物の色がピンクにオレンジ、黄色とカラフルで、おとぎ話に出てきそうとはまさにこのことだ。
ハルシュタットの「ハル」はケルト語で「塩」を指し、ハルシュタットは「塩の町」という意味。世界最古といわれる岩塩抗があり、ハルシュタット塩抗も観光地として有名。
そうした情報を頭に入れてしまっているもんだから、ついついお土産の塩に目がいく。
塩だ。塩。塩がある。また塩。ここにも塩。あ、塩。
どこでも売っている。
仕方ないので、買ってみる。岩塩だ。僕の心は落ち着く。
だけど、友人は塩を買っている様子が全く見受けられない。どうしたものか。買わなくていいのか。
その頃、彼は積み木のようなものに夢中になっていた。必死に積み木を選んでいる。
ふむ。岩塩の素晴らしさを共感、、、なんてことは諦めることにした。
ハルシュタットの町はとても落ち着いていて、こじんまりとしていて、ゆっくりと楽しむことができる。
町の外れまでやって来た。ハルシュタットの町並みと、山々を捉えることができる。
湖の、透明度の高さ。透き通っている。
色とりどりの建物が、雄大な山岳が、水面に綺麗に反射している。
どこまでも、ハルシュタットは美しい。
エピソード3 ハルシュタットで一晩を過ごす
ハルシュタットは小さな町だ。数時間あれば、全てを見て回れるだろう。ハルシュタットを短時間で堪能し、その後、ウィーンへ行くのも、ザルツブルクに戻るのも、新たな都市に向かうのも、旅人の自由だ。効率の良いヨーロッパ旅行が実現できるだろう。
だけど、僕らは違う。どこへも行かない。
とりあえず今日だけは、ハルシュタットを全力で感じてみることにした。
ハルシュタットに一泊するという選択肢を、あえてとってみた。
などと強気で慢心していたものだから、僕らは大変な事態に陥ってしまった。
夕食にありつけない、のである。
夕方の6時だというのに、どこのレストランも営業していない。閉店している。
開いていても、満席であるか、飲み物だけだと言われるかである。
町はずれにある唯一のスーパーも、すでに閉店している。
思えば、昼ご飯は何も食べていない。僕らはもう、ペコペコだった。
町へ繰り出す際、ホテルの前の露店が一軒営業しているのを確認していた。美味しそうなメニューが並んでいた。
仕方がない、そこで買って、ホテルで食べよう。
僕らは猛スピードで戻る。頼みの綱だ。
「終わった」
「???」
店主は後片付けに夢中であった。
けれど、僕らはめげない。立ち向かう。再度、レストラン探しプロジェクトを開始する。夕食がハリボーのグミだけは、なんとしても避けなければならない。
僕らの心を明るく照らしてくれるものは、プロジェクト中に発見した、なんとも分からんコレだけである。だけど、僕らにはまるで太陽のように思えた。
暗い夜道を、頑張って歩く。
まだ六時半であることを強調させてほしい。日曜日でもない。おかしいなあ。
2月のオーストリアの夜は、寒い。
震えながら、それでもマフラーの温もりを確かに感じながら、歩く。
「!!!」
僕らのプロジェクトは無事終了した。1時間以上は経過していた。
町の外れ近くのお店が営業していた。かれこれ、ハルシュタットの端から端までを歩いたことになる。
2月の真冬なのに屋外で、頼りないヒーターが一つあるだけで、ブランケットに身を包みながらの夕食で、という状況さえ違えば、せめて屋内のレストランであったならば、僕は美味しくて、満足して、涙が出ていたかもしれない。
だけど、見てほしい。お皿に盛り付けられたケチャップとマヨネーズを。
ケチャップ、マヨネーズ、ケチャップ。
赤白赤。
そう。オーストリアの国旗なのである🇦🇹
なんとも粋な計らいだ。
寒くても、震えていても、僕はもう満足だった。
ハルシュタットを全力で感じることができているのだから。
エピソード:追憶
ハルシュタットはどこまでも最高だった。
小洒落た町並みは歩くだけで楽しく、ハルシュタット湖は見るものを魅了する。
雪が白く積もったヨーロッパアルプスは迫力があり、雄大な大自然はパワーをくれる。
まさに、絶景を楽しむことができる。
ハルシュタットへの道のりは遠く、簡単には拝むことはできない。
静かに眠っているような町だった。
けれど、存在感は抜群だった。
静かに、だけど力強く、こんなにも輝いている。
ハルシュタットを、もう一度訪れたい。
そして、「ただいま」と言うんだ。
(完)
最後までお読みいただき、ありがとうございました!